多くの保護者が虫歯予防に熱心になればなるほど、お口に関する悩みは深くなる様です。乳歯列が完成するおよそ3歳までの時期は、咀嚼の機能と共に「食べる」ことの基本が育成される大切な時期です。
この時期に抱える困りごとを考えてみましょう。
Q1 ちゃんと仕上げ磨きをしたいのに、歯みがきを嫌がる!
平成23年歯科疾患実態調査によると、3歳のむし歯罹患率は25%、むし歯数0.6本と子どものむし歯は年々減り続けています。そして歯みがきを重要視すると同時に、実際には仕上げ磨きを嫌がるわが子に悩みながら日々歯ブラシと格闘している保護者が多いようです。
⇨まずはなぜ嫌がるのか、理由を考えてみましょう。
痛いから
・口の中をよく見ようと口角を引っ張り過ぎていませんか?
・磨く力が強過ぎていませんか?
・歯ブラシの毛先が開いていませんか?(頬粘膜を傷つけます)
苦しいから(唾液を飲んだり、呼吸をすることさえ我慢しています)
じっとしているのが嫌だから(遊びながら横になって口の中を子どもと一緒に観察してみましょう。ゴロンゴロン遊びなど)
過敏がある(毎回全身が緊張するほど嫌がる場合は「触れられる」という刺激に過敏がある可能性があります。食事や歯みがき以外の時間に手のひらを広く使い、一か所でじっとふれる練習をしましょう。)
Q2 前歯でかじれず、食べ物を口に詰め込む!
なんでも一口サイズにしてあげていませんか?
前歯には、口唇で触れながら自分の一口量を決めてかじり取る役割があります。前歯でかじり取った感覚が歯から脳に伝わり、「噛む」動きに繋がっていきます。「食べやすいように」「こぼれないように」と食物を一口サイズにして与えてしまうと、前歯でのかじり取りを修得する機会が失われてしまいます。
「かじり取り」が食べる機能を育てる
子どもは自食(介助なしに食べること)を始める時期に、手の動きや口の動きの練習を繰り返しながら、「自分でちょうど良い量をかじり取って食べる」という機能を獲得します。
食事の場面では、食材に触れてベトッと手につく、グチャッとつぶれる、握ったまま手のひらを広げることができない、などの経験も大切です。
執筆者 歯科衛生士 中野まち子